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【平成25年6月8日】 被控訴人杉浦和彦との控訴審(東京高等裁判所平成25年(ネ)第1126号 損害賠償請求控訴事件)について、平成25年4月24日、東京高等裁判所第21民事部において、和解が成立いたしました。
和解の内容は、控訴人杉浦の在任期間中に出資を行った被控訴人らの被害額である金2835万1290円全額の支払義務があることを認めるもので、控訴人杉浦が弁護団の主張を全面的に受け入れたものとして評価でき、弁護団は、すでにその一部の弁済を受けております。
残金については、期間について譲歩しましたので、長期の分割払いとなっていますが、同人の資力が定かではないこと、支払を怠れば一括払いとなる条項にしてあること、控訴人杉浦による他の被告らについての情報提供を行う動機付けを生じさせることを期待していること(同人らからの回収ができれば、控訴人杉浦の債務が減るという関係にあります。)から、現実の被害回復に向けて評価できるものといえます。
弁護団は、控訴人杉浦以外の原審被告らに対しても、引き続き被害回復に向けた強制執行の手続きを検討するとともに、併せて折衝等を行っていく予定です。
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【平成25年1月25日】
本日,平成25年1月24日午後1時15分から,東京地方裁判所530号法廷において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社及び同社の取締役らに対する訴訟の判決の言渡しがなされ,被告らに対して,支払額から返戻額を差し引いた額に弁護士費用を加えた額(合計2億4842万5358円,個人被告は在任期間中の金銭交付部分)の損害賠償請求が認められました(1名の原告についてのみ,一部役員である被告との関係で就任時期の問題から当該被告との関係でのみ請求が棄却されていますが,この原告についても,その余の請求は認められています。)。返戻額こそ損害額から控除(損益相殺)されましたが,全面勝訴といって良い結果だと評価しています。
本判決は,本件匿名契約による出資金は,「そのほとんどが志波らに対する無担保の貸付によって運用されており,それ以外の運用の予定もなかった」にもかかわらず,「被告ハヤシファンドと同トップゲインは,原告らに対し,本件匿名組合契約締結の勧誘に当たり,出資金の運用について,『ファンド・オブ・ファンズ』という運用法方を採用すると記載したパンフレットなどを送付して,その運用方法を説明して」おり,「原告らは,本件匿名組合契約の出資金の運用方法が『ファンド・オブ・ファンズ』によるものであると誤信して」,出資金を支払ったという事実認定のもとに,「被告ハヤシファンドと同トップゲインは,それぞれ役割を分担しつつ,共同して,本件匿名組合契約の募集,勧誘及び営業を行っていたこと」
,「本件匿名組合契約締結の勧誘に当たり,出資金の運用方法について故意に虚偽の説明をしたこと」,「原告らは,そのような虚偽の説明を真実であると誤信して本件匿名組合契約を締結したことが認められる。」とし,「匿名組合契約は,営業者が出資金を運用して,その利益を分配することを目的とするものであり,営業者が出資金をいかなる方法で運用するかは,同契約を締結するか否かを決定するに当たって極めて重要な事柄というべきであるから,本件匿名組合契約締結の勧誘に当たり,この点について故意に虚偽の説明をし,その旨誤信させて契約を締結させ,出資金として金員を交付させる行為は,不法行為を構成させるというべきであ」るとして,被告ハヤシファンドらの違法性を明確に指摘しました。
また,被告らの本件で被告らが行ったA社,B社及びC社への無担保の貸付も「ファンド・オブ・ファンズ」に含まれるから,「ファンド・オブ・ファンズ」による運用であると告げたことは,原告らへ虚偽の事実を告げて勧誘したことにはならないとの主張に対しては,「『ファンド・オブ・ファンズ』とは,不動産,株式,債券などへの投資信託を投資対象とする投資信託であると理解されていることは公知の事実であるし,前記のとおり,本件匿名組合契約による出資金は,ほとんどが志波らに対する無担保の貸付によって運用されており,それ以外の運用の予定もなかったのに対し,被告ハヤシファンドと同トップゲインが配布していたパンフレットには,運用方法として貸付は例示されていないのであって,被告ハヤシファンドと同トップゲインが出資金の運用方法について虚偽の説明をしたことは明らかである」として,理由を説得的に述べて,その主張を排斥しました。
本判決は,ハヤシファンドの商法の違法性及び関係者の責任を,的確かつ説得的にに認めたものとして,大きな意義があるものと考えます。
本判決は一審の判決ですから,被告らは判決書を受領してから2週間以内であれば,控訴をする権利を有します。
控訴された場合(その可能性は高いのではないかと考えています)は,高等裁判所で審理されることになります。
なお,今後さらに重要となってくるのが現実の被害回復であることは従前よりご報告等しているとおりです。
この点については,各種調査と強制執行手続を検討するととともに,併せて被告らとの折衝の可否等を見極めていくこととしています。
平成25年2月21日補記:1名(被告杉浦)のみ控訴し,その余の会社,役員らは控訴せず確定しました。
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【平成24年10月24日】
平成24年10月22日午1時30分より,東京地方裁判所民事第530号法廷において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の尋問期日が開かれました。
当日は,被告林裕一,被告宮本雄介,被告杉浦和彦,被告黒木淳の各本人に対する尋問が行われました。
複数の弁護団参加者が傍聴して下さいました。
被告林裕一に対しては,被告らが勧誘の際喧伝していた基本的枠組みを逸脱した運用をしており,出資者に虚偽の説明をしていたことについての認識などについて,その余の被告らについては,本件ハヤシファンド商法への関与の程度及び認識の程度等について,尋問が行われました。
尋問終了後,双方の意見を確認して,弁論は終結し,次回,判決が言い渡されることになりました。
なお,当弁護団は,これまでの主張立証をまとめた書面を12月中旬を目処に提出する予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成25年1月24日午後1時15分
場所:東京地方裁判所530号法廷
原告団の皆様は出頭される必要はありません。
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【平成24年9月5日】
平成24年9月4日午後3時00分より,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
本日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
本日は,被告林,被告宮本,被告黒木,被告杉浦に対する人証が行われることが決定され,尋問事項,尋問時間,尋問の順番などの確認が行われました。
原告らの人証については,前回もお伝えしたとおり,現段階では採用されておらず採否留保という状態で,被告らに対する尋問後にその採否が決定されます(現在の見込みでは採用されない見込みです。)。
次回は,被告林,被告宮本,被告黒木,被告杉浦に対する人証が行われる予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成24年10月22日午後1時30から午後5時
場所:東京地方裁判所530号法廷
原告の皆様は必ずしも出頭される必要はありませんが,
尋問がなされる期日であり,訴訟の大詰めですので,
ご都合をお付けいただいてぜひ傍聴して下さいますようお願いします。
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【平成24年7月20日】
平成24年7月20日午後4時30分より,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
当日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
当日は,当日までに人証の申請が行われた被告林,被告黒木,被告杉浦,被告宮本及び原告ら全員について,誰に対して,どのような内容を,どのくらいの時間尋問を行うかなど,人証の計画が話し合われました。
当方は,事前に意見書を提出するなどしておりましたが,被告林,被告黒木,被告杉浦及び被告宮本については,人証が採用されたかもしくは採用予定であり,尋問期日は10月22日になりました。
被告らから,原告ら全員に対しても人証を行うように申請が行われていますが,現段階では採用されておらず採否留保という状態で,被告らに対する尋問後にその採否が決定されます(現在の見込みでは採用されない見込みです。)。
次回は,人証に向けた最終の調整などが行われ,次々回には被告らの尋問が行われる予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成24年9月4日午後3時
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成24年6月25日】
平成24年6月22日午後3時より,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
当日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
当方は,調査嘱託申立及び記録顕出の結果を踏まえ,被告らが適正な運用を行っていた形跡がないこと,被告らは無効な貸付による利息を前提とした違法な運用を行っていたことなどから,被告らの行っていたハヤシファンドへの組成・投資勧誘は,金融取引法秩序に反する反倫理的行為に他ならない等と主張した平成24年6月21日付準備書面(3)を陳述し,原告らの請求額の整理のための一覧表を提出しました。
被告杉浦は,被告杉浦自身の尋問の申出,被告黒木は,被告林の尋問の申出を行いました。
次回は,当事者双方が上記以外の人証の申出を行い,証人尋問に向けた準備を行う予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成24年7月20日午後4時30分
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成24年5月9日】
平成24年5月9日午前10時から,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
本日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
弁護団が,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントらが別件で行っている訴訟の記録を本件訴訟に顕出するよう申し出ていた件に関して,本日,記録の提示(裁判所への記録の顕出)が行われました。
被告宮本からは,準備書面が提出され陳述されました。
また,弁護団は,顕出を申し立てていた記録の中に新たな情報があったことから,弁護団の主張を裏付ける証拠を収集するために,裁判所に対して,株式会社三菱東京UFJ銀行に対して調査嘱託をするよう申し立てました。
次回は,人証の申請及び原告らの請求額の整理等を行う予定です。
また,調査嘱託の結果や記録顕出の結果を踏まえ,必要があれば弁護団の方からさらに主張立証を行っていきます。
今後の進行としては,双方の主張を踏まえ,争点整理や人証の採否を決定し,その後関係者の尋問が行われる予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成24年6月22日午後3時00分
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成24年3月21日】
平成24年3月14日午前10時から,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
本日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
被告杉浦及び被告黒木から準備書面が提出され陳述されるとともに,被告黒木から乙F2号証ないし乙F7号証の書証が提出されました。
また,前回期日で弁護団が,裁判所に対し,弁護団の主張を裏付ける証拠を収集するために,三井住友銀行に対して調査嘱託をするよう申し立てるとともに,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントらが別件で行っている訴訟の記録を本件訴訟に顕出するよう申し出ていた件に関して,いずれも採用されました。
次回は,調査嘱託の結果や記録顕出の結果を踏まえ,必要があれば弁護団の方からさらに主張立証を行う予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成24年5月9日午前10時00分
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成24年3月21日】
平成24年2月7日午前10時から,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
本日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
弁護団は,準備書面(2)及び甲21号証乃至甲25号証の書証を提出し,被告らの主張に対する認否及び反論を行いました(ただし証拠調べは法廷で行う予定であるため書証の提出は留保されています。)。
具体的には,弁護団は,被告らが投資先等と称する者らへの仮差押え手続を行い,その結果,被告らが,顧客には「ファンド・オブ・ファンズ」で運用するなどと喧伝しながら,実は単なる個人に対し金員を無担保で貸付けていたこと等が判明したことから,それらの点を含めて被告らの違法性を主張・立証しました。
また,本日,弁護団は,裁判所に対し,弁護団の主張を裏付ける証拠を収集するために,三井住友銀行に対して調査嘱託をするよう申し立てるとともに,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントらが別件で行っている訴訟の記録を本件訴訟に顕出するよう申し出ました。
裁判所は,各被告らの意見を聴いたところ被告杉浦のみが意見留保ということであったので,同被告の意見書の提出を待ってその採否を判断する予定です。
次回は,被告らの方から,弁護団の主張に対して反論がなされる予定です。
弁護団は,調査嘱託及び記録顕出の結果を待って,あらためて被告らの主張に対する反論を行う予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成24年3月14日午前10時00分
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成23年12月14日】
平成23年12月13日午後1時30分から,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において,
被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
本日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,
被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一から準備書面が提出され陳述されました。
また,被告ハヤシファンドから乙A60号証ないし乙A115号証の書証が提出されました。
被告株式会社ハヤシファンドらの今回の主な主張は,弁護団が主張する損害額について争うというものです。
次回は,今までの被告らの主張を受けて,弁護団の方から反論を行う予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成24年2月7日午前10時00分
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成23年11月2日】
平成23年11月1日午前10時30分から,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら及びその関係者に対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
本日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
被告株式会社ハヤシファンドマネジメントら,被告黒木,被告杉浦,被告宮本から準備書面が提出され陳述されました。
また,被告杉浦から乙D1号証及び乙D2号証の書証が提出されました。
次回は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントらから弁護団が提出している出入金一覧表についての認否及び証拠の提出等が行われる予定です。
弁護団は,被告ハヤシファンドマネジメントらの主張及び証拠の提出を待って,被告らの主張に対する反論を行う予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成23年12月13日午後1時30分
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成23年9月27日】
平成23年9月6日午後1時30分から,東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室において被告株式会社ハヤシファンドマネジメントらに対する訴訟の弁論準備手続が開かれました。
本日は,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告黒木淳の各本人,被告杉浦和彦,被告宮本雄介の各代理人が出席しました。
当方は,原告準備書面(1)及び甲1乃至20号証の書証を提出し,被告らの主張に対する認否及び反論を行いました。
また,被告株式会社ハヤシファンドマネジメントから提出された乙A1乃至A59号証,被告林裕一から提出された乙C1及びC2号証証拠,被告宮本から提出された乙E1乃至E9号証の書証の証拠調べが行われました。
次回は,当方から損害についての主張の補充を行うとともに,被告らから当方の主張及び提出された証拠に対する反論が行われる予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成23年11月1日午前10時30分
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成23年7月7日】
平成23年7月4日午後1時15分から,東京地方裁判所第530号法廷において被告株式会社ハヤシファンドマネジメントらに対する訴訟の第2回口頭弁論期日が開かれました。
前回期日において,被告宮本雄介の代理人から,別件訴訟と本件訴訟を併合するよう申立がなされていた件について,裁判所は併合をしないとの判断をしました。
また,被告宮本雄介及び被告杉浦和彦から,準備書面が事前に提出され,本日陳述されました。
被告株式会社ハヤシファンドマネジメントから乙A1乃至A59号証,被告林裕一から乙C1乃至C3号証証拠,被告宮本から乙E1乃至E9号証の書証が提出されました(ただし,証拠調べは次回以降になる予定です。)。
次回は,被告らの主張及び提出された証拠を踏まえ,当方から,被告らの主張に対する認否及び反論を行う予定です。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成23年9月6日午後1時30分
場所:東京地方裁判所民事第37部裁判所書記官室
法廷ではなく,裁判所書記官室で行われるため,事実上傍聴は困難です。
裁判の内容は,期日後にご報告させていただきます。
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【平成23年6月1日】
平成23年5月26日午前10時15分から,東京地方裁判所526号法廷において被告株式会社ハヤシファンドマネジメントらに対する訴訟の第1回口頭弁論期日が開かれました。
被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一,被告杉浦和彦,被告宮本雄介,被告黒木淳のうち,被告宮本雄介と被告杉浦和彦には代理人がつき,被告宮本雄介の代理人を除く被告らが出席しました。
冒頭に,被告宮本雄介の代理人から,「別の訴訟が被告宮本雄介に対して提起されているので,両訴訟を併合して欲しい」という意見が出ている旨の打診が裁判所からあり,当弁護団としては,事案や主張が共通するか不明であるから,現時点では併合については消極である旨の意見を述べました。
そこで,上記事件との併合については留保とし,本件についての裁判手続が開始されることになり,弁護団から訴状を陳述しました。
被告らからは,期日までに答弁書が提出されており,被告宮本雄介を除く被告らの答弁書が陳述され,被告宮本雄介の答弁書は擬制陳述(第1回目に限り,被告が欠席する場合に陳述したものとみなすという手続です。)されました。
被告らは答弁書において,いずれも原告の請求を認めない旨の主張をしています。
その内被告杉浦及び被告宮本は,主張の詳細はいずれも次回以降にするとしており,次回期日までに反論がなされる予定です。
また,次回までに,被告株式会社ハヤシファンドマネジメント,被告トップゲイン株式会社,被告林裕一から証拠が提出される予定であり,当方からも,これを踏まえて証拠の提出等を行う予定としています。
次回期日の予定は以下のとおりです。
日時:平成23年7月4日午後1時15分
場所:東京地方裁判所第530号法廷
原告団の皆様は出頭される必要はありませんが,ご興味のおありの方は傍聴にいらしてください。
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【平成23年4月12日】
平成23年3月29日,株式会社ハヤシファンドマネジメント,トップゲイン株式会社,及びその役員ら4名に対する訴訟を東京地方裁判所に提起しましたのでご報告いたします。事件番号は東京地方裁判所平成23年(ワ)第10160号損害賠償請求事件,係属裁判所は東京地方裁判所民事第37部です。原告数は49名,請求金額は合計3億3506万円です。
同事件については,第1回口頭弁論期日が,平成23年5月26日(木)午前10時15分,東京地方裁判所526号法廷に指定されました。
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ハヤシファンド事件集団提訴について
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平成23年3月29日
トップゲイン・ハヤシファンド関連ファンド被害対策弁護団
代表弁護士 荒井 哲朗
弁護士 山口 貴士
弁護士 島 幸明
弁護士 浅井 淳子
弁護士 太田 賢志
弁護士 佐藤 顕子
弁護士 五反 章裕
弁護士 中森麻由子
弁護団事務局事務所
東京都千代田区日比谷公園1-3 市政会館地階
あおい法律事務所
電話 03-3501-3600
弁護団HP:http://www.hayashi-bengodan.com/
メールmail@hayashi-bengodan.com |
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第1 訴訟の概要
当弁護団は,今般,「ハヤシファンド」,「トップファンド」に投資している投資家49名を代理して,株式会社ハヤシファンドマネジメント,トップゲイン株式会社,及びその役員ら4名に対し,訴えを提起したので報告する。
事件番号:東京地方裁判所平成23年(ワ)第10160号
係属裁判所:東京地方裁判所民事第37部
訴額:合計3億3506万円
原告数:49名(個人)
被害額:20万円から5300万円まで。但し,100万円以下が2割,1000万円以上が2割強で,400万円前後の被害者が多い。
原告所在地:関東在住者が半数で,北海道から熊本まで全国に分布している。北海道1,青森県1,福島県2,宮城県1,新潟県1,茨城県1,埼玉県3,千葉県7,東京都9,神奈川県5,静岡県2,愛知県4,奈良県2,大阪府1,広島県6,島根県1,高知県1,熊本県1
第2 事案の概要
1 本件は,株式会社ハヤシファンドマネジメントらが,主にインターネットを通じて,通称を「エンジェルファンド」,「ハヤシファンド」あるいは「トップファンド」と称する匿名組合に出資すれば,最高年利20%から30%もの高率の配当が得られる等と喧伝して原告ら顧客に金員を支払わせたところ,関東財務局により勧誘行為について虚偽の事実を告げていたなどとして業務停止等の行政処分がなされ,その返還がなされないという事案である。
2 平成22年4月16日付けで,トップゲイン株式会社は,①ファンド運用に係る無登録営業,②無登録業者の運営するファンドへの出資等,③金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して,虚偽のことを告げる行為を理由として,6か月間の業務停止及び業務改善命令の行政処分を受け,また株式会社ハヤシファンドマネジメントも,同様に①第二種金融商品取引業の無登録営業,②運用報告書等に係る虚偽告知を理由に,法令違反行為を直ちに止めるよう文書により警告する等の対応を行った。
上記のうち,勧誘に関して虚偽のことを告げる行為とは,「エンジェルファンド」,「ハヤシファンド」あるいは「トップファンド」について,いわゆるファンド・オブ・ファンズ(運用を委託されたファンドが他の複数のファンドに投資を行うもの)で運用を行うなどとしながら,その実は単なる貸付によって運用を行うなどというものであり,この虚偽説明は全ての原告らについて共通するものである。
3 被告トップゲインらは,業務停止処分が明けた平成22年11月30日付けで,「ファンド解散のお知らせ」と題する文書を送付したところ,これによれば約3年間(平成26年1月まで)で合計10回に分割して償還するとしつつ,当初は0.13%という極めて低率の償還をするなどというもので,さらに「ファンド解散に伴う清算同意書」に同意しなければ償還に応じないなど,通常ではあり得ない対応を行っている。
4 そこで,平成22年1月ころまでに,当弁護団に多数の相談が寄せられたことから,同じころトップゲイン・ハヤシファンド関連ファンド被害対策弁護団を結成し,被害回復に当たることとした。
第3 今後
訴訟手続を中心に,必要な範囲で本件ファンドの実態解明等を行いながら,被害回復に向けた種々の手段を講じていく予定である。
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以上 |
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1 はじめに
本件は,主にインターネットを通じて,エンジェルファンド(エンジェル○×号匿名組合という名称がつく。),トップファンド(匿名組合名に「トップ」という名称がつく。),ハヤシファンド(HAYASHI○×ファンド○号匿名組合という名称がつく。)と称する匿名組合に出資すれば,ほぼ確実に最高年利20%から30%もの高率の配当が得られる上,途中解約も自由であると喧伝し,資金集めが行われたという事案である。これらの匿名組合においては,出資者の信用を得るために,運用手数料は一切取らず,会社の利益は配当額以上の運用益が出た場合にしか発生しない旨を明言していた。
2 主な当事者
本件の主な当事者は株式会社ハヤシファンドマネジメント(平成21年4月21日までは「株式会社エンジェル・コム」)及びトップゲイン株式会社である。株式会社ハヤシファンドマネジメントは,トップゲイン株式会社の親会社であり,エンジェルファンド及びハヤシファンドを組成し,かつ,その営業者をしていた。トップゲイン株式会社は,株式会社ハヤシファンドマネジメントの子会社であり,トップファンドを組成し,かつ,その営業者をしており,かつ,ハヤシファンドの私募と運用についても株式会社ハヤシファンドマネジメントからも委託を受けていた。
3 トップゲイン株式会社,株式会社ハヤシファンドマネジメントに対する行政処分
トップゲイン株式会社に対する行政処分及び株式会社ハヤシファンドマネジメントに対する対応について
平成22年4月16日付で,関東財務局は,トップゲイン株式会社に対し,平成22年4月16日から平成22年10月15日までの間の業務停止命令及び業務改善命令を出している。同命令を出すに際し,関東財務局は,トップゲイン株式会社が金融商品取引法第29条に違反して無登録で金融商品取引業を営んでいた事実を認定し,また,「トップゲイン社は,当該4ファンドの持分の私募及びハヤシ社を営業者とするファンドの持分の私募の取扱いを行っている。トップゲイン社は,これらのファンドの持分の取得勧誘において,ハヤシファンドの運用報告書等を用いて勧誘を行っていたが,当該運用報告書等には,『ファンド・オブ・ファンズで運用し,安定した運用益を得られている』等と表示されているものの,実際には主に貸付により運用されているなど,事実と著しく相違するものとなっていた。(略)トップゲイン社は,このような状況の下,これらのファンドの取得勧誘に際して,運用報告書等の投資勧誘資料を用い,ファンドの運用方法及び実績という投資者の投資判断に影響を及ぼす重要な事項につき,虚偽の告知を行った。」という事実を認定した上で,「金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して,虚偽のことを告げる行為」(金融商品取引法第38条第1号)が存在すると認定している。なお,無登録で金融商品取引業を行う行為も,同法第198条第1号により「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する」という罰則が定められている犯罪行為であり,「金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して,虚偽のことを告げる行為」は,同法第198条の6により「1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
」という罰則が定められている犯罪行為であって,刑法上の詐欺罪に問われる可能性もある。
同日付で,関東財務局は,ハヤシファンドマネジメント株式会社に対し,同社が無登録で金融商品取引業を行っている事実を認定し,金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針Ⅱ-1-1(7)に基づき,当該行為を直ちに止めるよう文書により警告する等の対応を行っている。警告をするに際し,関東財務局は,「ハヤシ社は,ハヤシ社を営業者としハヤシファンドへ出資するファンドの持分の私募を行っており,取得勧誘の資料として,ハヤシファンドの運用報告書等をホームページに掲載するとともに,当社による取得勧誘に際し,当該運用報告書等を使用させている。ハヤシ社は,当該運用報告書等に「ファンド・オブ・ファンズで運用し,安定した運用益を得られている」等と表示しているものの,実際には主に貸付により運用しているなど,これらの表示は事実と著しく相違するものとなっていた。」という事実を認定した上で,「金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して,虚偽のことを告げる行為」(同法第38条第1号)が存在すると認定している。無登録で金融商品取引業を営むこと,「金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して,虚偽のことを告げる行為」が犯罪行為であることは,前述したとおりである。
4 現状
現在,配当,償還は停止している状況にある。
昨年12月1日付で,株式会社ハヤシファンドマネジメントから投資家に対し,「ファンドの解散に伴う清算同意書」なる書面を1ケ月以内に提出するように求める連絡がなされているが,当職らは,「ファンドの解散に伴う清算同意書」なる書面の内容を確認した結果,将来,損害賠償請求等の被害回復手続を検討している投資家の方々には,同書面を提出しないことをお勧めしている。
5 エンジェルファンド,ハヤシファンド及びトップファンドの問題点に関する当弁護団の見解
(1)違法性
前述したとおり,株式会社ハヤシファンドマネジメント及びトップゲイン株式会社は,無登録で金融商品取引業を営んでおり,かかる行為は犯罪行為であるだけではなく,金融所品取引秩序に著しく反する行為として公序良俗に反するものというべきであり,出資者に対する関係でも民事上の不法行為責任を基礎づける一事情となる。
また営業者は,匿名組合契約に基づき,出資者に対して善管注意義務を負う。そして,金融商品の勧誘をして販売する者は,投資者が,投資しようとする金融商品の内容や仕組みや運用の方法,リスクなどについて十分な情報を得た上でないと適切な投資判断を行うことはできないから,投資者の投資判断を誤らせないよう,投資者に対して投資内容を十分理解し自己責任において投資判断をするための情報や資料を積極的に提供し,投資者の知識,能力,経験等に応じて,投資者が理解できる程度に説明すべき信義則上の義務を負い,これに違反した場合には民事上の不法行為として損害賠償責任を負う。
ところが,前述したとおり,株式会社ハヤシファンドマネジメント及びトップゲイン株式会社が出資者を勧誘するために用いていた当該運用報告書等には,「ファンド・オブ・ファンズで運用し,安定した運用益を得られている」等と表示されているものの,実際には主に貸付により運用されているなど,事実と著しく相違するものとなっており,金融商品取引契約の締結又は勧誘に関して,虚偽が告知されているから,少なくとも説明義務違反が存在することは明らかであり,同社らは不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
また,株式会社ハヤシファンドマネジメント及びトップゲイン株式会社は,エンジェルファンド,ハヤシファンド及びトップファンドの勧誘に際し,高率の配当を得ることができるという部分を過度に強調する利益強調型の勧誘を行い,また,投資家への配当額を上回る運用益を獲得した場合にのみ営業者の利益が発生することを強調して安全性強調型の勧誘を行う一方で,投資に伴うリスクについては一般的・抽象的な説明しかしていないことから,この観点からも説明義務違反を理由とする不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
そして,株式会社の代表取締役は,会社の業務執行行為を適正に行うべき注意義務があるところ,前述したとおり,株式会社ハヤシファンドマネジメント及びトップゲイン株式会社は,金融商品取引法に違反して無登録で金融商品取引業を営み,また,出資者を勧誘するために用いていた当該運用報告書等には,「ファンド・オブ・ファンズで運用し,安定した運用益を得られている」等と事実と著しく相違する虚偽を記載した書類を用いて出資の勧誘を行い,さらには,高率の配当を得ることができるという部分を過度に強調する利益強調型の勧誘を行い,また,投資家への配当額を上回る運用益を獲得した場合にのみ営業者の利益が発生することを強調して安全性強調型の勧誘を行う一方で,投資に伴うリスクについては一般的・抽象的な説明しかせずに,会社ぐるみで説明義務に違反する違法な出資の勧誘を行っていたものである。株式会社ハヤシファンドマネジメント及びトップゲイン株式会社の代表者は,そのような違法な勧誘行為が行われないよう注意すべきであったのに,これをせず会社ぐるみで説明義務に違反する違法な出資の勧誘が行われたのであるから,会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負う。
また,取締役会設置会社である株式会社の取締役は,代表取締役等に対する監視監督義務を負うこと,監視監督義務の対象は取締役会に上程された事項に限定されることなく,代表取締役等の業務執行行為一般に及ぶものであると解されること,監視監督義務遂行のため必要があるときには取締役会を招集又は招集請求することが取締役の任務であると解され,監査役も同様に監視監督を負うところ,株式会社ハヤシファンドマネジメント及びトップゲイン株式会社において上記のとおりの違法行為が会社ぐるみで行われていたことからすれば,その取締役及び監査役は,代表取締役の業務遂行について取締役会を招集するなどしてその是正を講じるべきであったこと,なんらなすところなくその監督義務を尽くさなかったことには,少なくとも重大な過失があったことは明らかであり,同人らは会社法429条1項に基づく損害賠償責任を負う。
(2)中途解約
匿名組合の契約書では,中途解約が自由である旨が明記されており,中途解約を理由として出資金の返還を請求することも可能であり,法律構成の一つとして検討されるべきである。
6 当弁護団の受任範囲等について
(1)はじめに
当弁護団は,匿名組合の営業者である株式会社ハヤシファンドマネジメント及びトップゲイン株式会社及びこれらの役員・幹部構成員らに対して損害賠償請求等の訴訟を提起するなどし,最終的には会社及び関係者らに対して破産の申立等をも視野に入れることによって被害回復を図ることを予定している。
(2)弁護団が受任する被害者
当弁護団は,エンジェルファンド,トップファンド及びハヤシファンドへ出資し,損害を受けた者からの依頼を受任する。当弁護団の損害に関する考え方は,「(3)損害額」で述べるとおりである。
(3)損害額
まず,「契約」通りの「出資金及び配当」の支払を期待することは,「認識が甘い」ということを自覚する必要がある。各匿名組合ごとに「出資した金額」から,(配当等として現実に金銭として)「受領した金額」を控除した金額については,上記のとおり違法な商法によって生じた「損害」であると見ることができ,これをさまざまな態様で共同して行っていた関係者らに対して共同不法行為に基づく損害賠償請求等が可能であると考えられるが,同人らの資産等によって,現実の被害回復は著しく左右されることになる。
「出資金額全額」が一応の損害であり,「配当」等名目で支払われた金銭は損害賠償請求に当たって控除されるべきでないとも考え得るが(最判平成20年6月24日),会社について破産手続が開始したときや他の被害者から請求がなされたときには「利益」を得ている部分については返還しなければならないことになることも考えられるし,なにより,「利益」部分は他の被害者の痛みの上に存在しうるものであるから,当弁護団は出資金額から配当金額等を除いた実損害金額が賠償されれば十分に満足するべきであると考えている。
(4)手続の選択
被害者数が多いため,一定程度集団的な対応をせざるを得ない。被害回復の程度は,より多いに越したことはないが,この種商法の常として,現実の被害回復が困難となる例が多くある。訴訟等で勝訴したとしても,結局1円も回復できない可能性もある。訴訟前ないし訴訟上の和解をするときには,今後の手続の過程で顕れるであろう諸般の事情を考慮して,実損害金額(交付金額)との割合で解決のラインを決定することになる。
なお,被害者の中には,交付金額以上に深刻な精神的苦痛等を受けている者も相当数あると思われるが,出資商法被害について裁判例は,決して被害者に寛大ではなく,過失相殺として被害者の落ち度を認定して賠償金額を減額する傾向があること,集団的,画一的な手続の進め方によって,少しでも早期に解決を図りたいことなどから,慰謝料請求をすることはしない。
いつどのような手続を行うかの選択,和解をするか否か,するとしてその時期,金額等については,当弁護団が正当であると思うものを選択する。多数の被害者で集団的に手続を採る場合に,相手方が個別の和解に応じることは考えにくく,一律に手続を進めることになると思われる。
(5)受任手続
当職らが受任するときには,着手金は「損害」(交付金額から受領金額を控除した金額)の3.15%(税込み),報酬は現実に返ってきた金額の 16.8%(税込み)とする。追加の実費であるとか費用を徴収することはない。ただし,現実に費消した実費は,現実の被害回復を得たときにはそこから控除することとする(例えば,印紙代などの実際に費消した費用はその都度請求することはしないし,現実の返金ないし賠償が得られていない場合には事後に請求されることもないが,現実に返金ないし賠償が得られた場合にはそこから被害者への送金額を按分計算する前に控除する。)。
着手金は,1円も返ってこなくても支払わなければならない金額である。手続途中で弁護士を解任することはできるが,着手金相当額は返還されず,時期によっては報酬相当額の支払義務が生じる。
(6)その他の注意事項
訴訟等のために個別に事情を聞く必要が生じうるし,関係資料の提供や有益であると考えられる情報の提供は積極的にお願いしたい。被害者になるべく負担の少ない方法を考えるが,全てを「人任せ」にしたいというのは望ましい依頼者のあり方ではない。
当弁護団に委任して被害回復手続を採りたいと考える場合には,本書面をよく読んだうえ,関係書類を当弁護団事務局宛送付されたい。家族等に内緒にされている場合には,法律事務所の名称の入っていない封筒を用いるなどの配慮をするが,そもそも民事訴訟手続は公開の手続でもあるから,依頼していることが絶対に他人に知られないという保証はできない。
なお,相手方がある問題でもあり,本書面においては微妙な問題を含む部分については十分な記載ができないこと,本人確認が必ずしも十分ではない電話による問い合わせには必ずしも詳細を告げることができない場合があることを予めご了承いただきたい。
申込手続を了する期限は,平成23年1月末日(必着)とする。手続の迅速を要することもあり,期限を過ぎてされた申込は原則として受け付けない。来所は歓迎するので,直接来所して説明等を受けることを希望される場合には,事前に連絡の上,来所されたい。
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以上 |
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